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序章:ガラスってなに?

私たちの身の回りにあるガラス。

そんなガラスについてのあれこれを、お話していこうと思います。
真面目にお話すると非常に難しくてヤヤコシイ話なので、場合によっては少し、省略している部分もありますのでその点は予めご了承くださいね。
もっと詳しく知りたい、という方は遠慮なく番頭までメールください。

ガラスって?


ガラスの成り立ち、ガラスの歴史、そんな概論的なお話です。
詳しくは、こちら

ガラスの技法


色鮮やかにして、様々な形のガラスたち。
ガラスについて、その製造方法からの分類です。ガラスを見た時、ちょっとでも思い出してもらえると嬉しいです。
一言にガラス、といっても実に様々な技法によって作られているんですよ。
詳しくは、こちら

ガラスあれこれ

ガラスを探そう


いきなりではありますが、質問です。

問:あなたの身の回りにあるガラス製品、またはガラスで出来ているものを10個、探してください。

どうですか?
10個、思い浮かびましたか?

答え合わせ、と言う程ではありませんが私たちの生活の中にあるガラス製品を一緒に考えて見ましょう。
まず最初に思い浮かぶのは食卓、テーブルウェアとしてのガラスでしょうか。
飲み物を飲むためのコップやグラス、食べ物を盛り付ける皿や鉢、調味料等を保管するビン等にガラスは使われていますね。
今度はもう少し探す範囲を広げてみましょう。
部屋や家の内外、インテリアやエクステリアと呼ばれる分野ではどうでしょうか。
部屋を明るく灯す照明やランプにガラスが使われていますし、そもそも電球や蛍光灯にもガラスが使われています。
お花を飾る花瓶にもガラスは使われていますし、窓には窓ガラスもありますね。
それにちょっと高級ですけど、協会にあるような色鮮やかなステンドグラスももちろん、ガラスでできています。

まだまだあります。
携帯電話やパソコンの液晶画面にもガラスが使われていますし、眼鏡やデジタルカメラのレンズもガラスです。
他にもインターネットの高速化を担っている光ファイバーケーブルもガラスですし、消防士さんが着込んでいる耐火服もガラス、特殊な分野では原子力発電所から出る核廃棄物の処理にもガラスは利用されています。

どうです?
私たちの身の回りには、実にたくさんのガラスがあるのです。


ガラスって何?


色々な分野に顔を出して、私たちの生活を便利にしたり、楽しくしてくれるガラス。
その正体は一体?

そもそもガラスという物質は天然には存在せず、人類が作り出した人工的な物質と言われています。
簡単に言うならば「細かい石(ケイ石)を原料にして、高温で溶かして作った物質」がガラスなのです。
そんな人類が作り出したガラスですが、実は非常にヤヤコシイ物質でもあります。
と言うのも・・・

通常、物質には「気体」「液体」「固体」という3つの状態(固有の沸点、融点によって分けられる)が存在しますが、ガラスにはこの区別がありません。
通常ですと物質を構成する原子や分子は、固体の状態では綺麗に整列(結合)して結晶化します。
ですが、ガラスは固まった状態でも原子や分子は好き勝手な方向を向いていて綺麗に整列(結合)していないため、結晶化しません。
固体なのに液体の性質があるのか、液体なのに固体の性質があるのか・・・?
最近では「ガラス化」と表現されることもあるみたいです。

凄いぞガラス!  ヤヤコシイが為に新しい表現まで作っちゃうなんて!!

そういえばガラスを漢字では硝子と書きますね。
硝という漢字は単独では「ショウ」と読み、ガラスや火薬の原料になる鉱物のことです。
硝(ショウ:ガラスの原料になる鉱物)から生み出された子で硝子、と読めませんか?


ガラスの歴史


身近にありながら実はヤヤコシイ物資、ガラス。
その歴史はと言うと、これまたヤヤコシイのです。

ガラスの起源については諸説あり、一概に「これが正解!」というのが存在しません。
今から5000年以上前、紀元前2500年頃の遺跡からは既にガラス製品が出土していますし、紀元前5000年頃の地層からガラスのような物質が発見された、という説もあります。
そもそもガラスの定義がヤヤコシイから、ガラスの歴史を遡るのもまた、ヤヤコシイ。

純粋にガラスとして作られたのは先述の通り、紀元前2500年頃の遺跡からガラス玉やガラス棒が出土してます。
しかし、陶器の釉薬(うわぐすり)としてガラス化しているものがあり、これを最初のガラスとするとその起源はもう少し、古くなるようです。

ここではプリニウス(B.C.23〜79)の「博物誌」にあるガラスのお話(第36巻65章)について、ご紹介します。

『昔昔、フェニキア人(現在のシリア近郊)の旅の商人が夜、食事をするためにとある海岸(今のイスラエル近郊)に上陸しました。海岸は一面、真っ白な砂に覆われていますが、竃(かまど)に適した大きな石は見当たりませんでした。そこで商人たちは積荷の炭酸ソーダの塊を竃の代わりとして炊事をしました。すると、砂浜の白砂と炭酸ソーダの塊が混ざり合い、キラキラしたガラスが流れ出てきました。』

今から2000年以上も昔ですから、夜、電気なんてありません。
夜の暗闇を照らすものは月の光と星の輝き、そして焚き火の炎。
満天の星空を眺め、そして足元の焚き火から流れた一筋のガラスの煌き。
きっと、当時の人たちはその美しさに見とれたことでしょう。

ヤヤコシイと散々に言ってきたガラスですが、こんな昔のお話を聞くと『ガラスとは月の光と星の瞬きから生まれたもの』なんて思えませんか?

え? ロマンチックすぎる?
そんな事、言わないで下さいよ。


ガラスをつくる

ガラスの技法といっても、実は色々なものがあります。
手作り技法の中でも代表的な技法を紹介してみましょう。
実際の商品を作る際には、これらの技法を複数組み合わせて製造されています。
一見単純なようですが、その組み合わせによっては表現できる可能性は無限大にあるともいえます。

●成形技法のあれこれ〜かたちを作る



1,宙吹き(ちゅうぶき)

ステンレス製のパイプ(竿)の先にドロドロに熔けたガラスを巻き取り、息を吹き込みガラス風船を膨らませて成型する方法です。
花瓶、食器、オーナメントなどあらゆる製品を作ることができます。
金属製の箸、はさみ、ピンセットなどを使い、自然の重力で伸ばす、竿を回転させ遠心力で広げるなど、型(金属製)を使わない高度な成形技術です。
熟練した技術が要求される技法です。


2,型吹き(かたぶき)

宙吹と同じく竿の先にガラス風船を作り、型に吹き込み成型する技法です。
花瓶、グラスなどの量産品に向きます。
型吹きされた製品は徐冷(じょれい…熱いガラスは急激な温度変化で割れてしまいます。それを防ぐために特殊な設備で時間をかけゆっくりと冷ますこと)の後でカットし切り口を磨いて完成します。
型に吹き込みますので、形状はほぼ一定になります。


3,手のばし

金属製の平らな板や模様のある板に熔けたガラスを落とし、金属製のヘラで延ばし広げる技法です。
主に角皿や厚めの皿など和食器に多く用いられる技法です。
伸ばしたガラスを柔らかいうちに深みのある鋳物型に入れ、鉢や花器など深い製品も作れます。


4,スピン

金属製の器の型に熔けたガラスを落とし型を高速で回転させ、遠心力により型の内側に沿ってガラスを延ばし広げる技法です。
主に量産の食器に使われ、金型の作り方によって複雑な形を作ることができます。
オートメーションの工場でも単純で均一的な製品はできますが、月夜野工房ではあらかじめガラスに様々な色で模様をつけておくことができ、風合いのある製品を作ることができます。


5,遠心技法

宙吹とスピンの中間のような技法です。
宙吹のように息を吹き込みガラスを膨らませるのではなく、竿につけたガラス円盤を回転させて延ばし広げる技法です。
スピンのような型は使わず自然な力で変形させ、形を作ります。型を使わないため一つ一つ違った形ができます。


●装飾技法のあれこれ〜色や柄を表現する



1,サンドブラスト技法、彫刻技法(カーブ、カービング)

ガラス研磨用の砂(金剛砂:こんごうしゃ)を圧搾空気でガラス表面に吹き付け曇りガラスにする技法(サンドブラスト)です。ガラス表面を部分的にマスキングして模様を作ることができます。深く彫り込むことで彫刻ガラスになります(カーブグラス)。
ガラス表面にごく薄い膜を作り彫刻することによって花や風景を表現できます。

2,色粒、墨流し技法

あらかじめ色ガラスの粒を作っておき、熔けたガラスに封じ込めて水玉模様を作ったり粒をねじって雲や水の流れのような模様(墨流し)を作る技法です。
色の組み合わせが自由にできるのが特徴です。涼感や暖かみ、落ち着きやカラフルさを表現するのに適していてオリジナルのカラーも表現しやすい技法です。


3,レースケーン、カラーケーン技法

色ガラスで直径6mm〜8mmの棒を作っておき、ガラス風船の表面に均一に熔着(熱いうちに異なるガラスどうしを融かし付けること)し模様を作る技法です。
数色のガラスの棒の組み合わせや、レース模様の棒を使い様々な表現ができます。


4,金彩、銀彩技法

金箔や銀箔をガラスに封じ込める技法です。
高温で柔らかいうちに成形しなければならないガラスと、高温では熔けてしまう箔をあわせる技術は温度との戦いです。微妙な温度をガラスの色変化と柔らかさで知り、適温の一瞬を逃さず成形する高度な技法です。


5,線巻き、マーブル技法

ドロドロに熔けているガラスを細く引き延ばしながらガラス風船に巻き付け、均一の螺旋模様(線巻き)や不規則な模様(マーブル模様)にする技法です。
複数色のガラスを使うにはその色数だけの坩堝(ルツボ…ガラスを融かすための容器)が必要になります。豊富な色ガラスを使えるガラス窯(坩堝を複数組合わせたガラス熔融のための設備)を持つのも月夜野工房の特徴です。